検索窓
今日:22 hit、昨日:67 hit、合計:11,205 hit

ページ ページ32

〈みなさまなかなか選択できないのですか?優柔不断なのもここまで来たらかたつむりと同じ”すぴーど”ですよ!〉


 ぷんぷん、と自分で効果音を言うクマがモニターに映し出された。人の命がかかっているこの盤面で、なぜ出てきたのだろう。馬鹿にするためか?くるくると回りながらかたつむり〜!と言っているクマは随分アホっぽく見えたが、やっていることは鬼畜としか言いようのない事だった。

 現れたクマを見て、泣いている時雨は面を上げた。自分を変わりにしろ、と、もう一度頼むつもりなのだろう。だが、クマはそれを許すほど優しくなかった。


〈時雨!悪いですけど、おまえのいうことなんてお見通しですよ!どうせ”私が変わりにケースに入ります”とか言うのでしょう!違う!?でも残念!〉

〈おまえのそのお願いは無理です!ですが、決められないおまえたちに良いものを持ってきましたよ〜!〉


 そもそもこんなデスゲームを開くような畜生クマがそんな生優しいことを許すはずが無い、といつもの彼女であれば気づいたはずなのだ。気づけないほどに動揺してしまっている時雨は、クマの変われない、という結果を聞き、絶望を顔に浮かべた。だが、クマの言う”良いもの”に惹かれ、全員がモニターを一層見つめる。


〈あれれれ?もしかして、期待されてますね我!それじゃあ、”良いもの”を教えてあげましょう!それは〜!〉

〈お二人の”隠し事”です!〉


 なにを言っているんだこのクマは。そんな空気がいつもなら広がるだろう。だが、そんなことを言うほど空気の読めないメンバーはいないのだ。気づけば冷や汗が頬を伝い、ごくりと喉を鳴らしていた。この現状を打破できるのであれば、もうなんだっていい。そう思えるほどに、彼女たちは命の天秤を上手に傾けられなかったのだ。


〈まず、結夢!〉


 ビシィ!と指のない手を結夢に突き付けるクマ。結夢はいつも通りの顔だったが、どこか諦めているように目を微かに伏せていた。彼女には思い当たるふしがあるのだろうか。


〈手遺結夢は、”両親から愛されていない”!〉

「……ぇ……。」


 困惑したような声が、結夢から漏れていた。それは全くの嘘の話に驚いたのか、それとも想像していた物と違ったからなのか。メンバーを置いてクマは続けた。


〈結夢は母親からの愛情はもらえていないって思っていたでしょう?でも違う違う!可愛そうだね!〉

次ページ→←前ページ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (28 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
22人がお気に入り
設定タグ:募集企画 , 本編 , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - きゃらめる@ぱんけえきさん» コメントありがとうございます。そう言ってもらえると嬉しいです。今後ともあいです!をお楽しみいただけたら幸いです。 (3月29日 22時) (レス) id: f84a20cb2a (このIDを非表示/違反報告)
きゃらめる@ぱんけえき - とっても面白いです!アイドルたちがデスゲームをするのはなかなかユニークなご企画ですね! (3月29日 21時) (レス) id: 9b744e7a21 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作者ホームページ:無し  
作成日時:2024年1月13日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。