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〈みなさまなかなか選択できないのですか?優柔不断なのもここまで来たらかたつむりと同じ”すぴーど”ですよ!〉
ぷんぷん、と自分で効果音を言うクマがモニターに映し出された。人の命がかかっているこの盤面で、なぜ出てきたのだろう。馬鹿にするためか?くるくると回りながらかたつむり〜!と言っているクマは随分アホっぽく見えたが、やっていることは鬼畜としか言いようのない事だった。
現れたクマを見て、泣いている時雨は面を上げた。自分を変わりにしろ、と、もう一度頼むつもりなのだろう。だが、クマはそれを許すほど優しくなかった。
〈時雨!悪いですけど、おまえのいうことなんてお見通しですよ!どうせ”私が変わりにケースに入ります”とか言うのでしょう!違う!?でも残念!〉
〈おまえのそのお願いは無理です!ですが、決められないおまえたちに良いものを持ってきましたよ〜!〉
そもそもこんなデスゲームを開くような畜生クマがそんな生優しいことを許すはずが無い、といつもの彼女であれば気づいたはずなのだ。気づけないほどに動揺してしまっている時雨は、クマの変われない、という結果を聞き、絶望を顔に浮かべた。だが、クマの言う”良いもの”に惹かれ、全員がモニターを一層見つめる。
〈あれれれ?もしかして、期待されてますね我!それじゃあ、”良いもの”を教えてあげましょう!それは〜!〉
〈お二人の”隠し事”です!〉
なにを言っているんだこのクマは。そんな空気がいつもなら広がるだろう。だが、そんなことを言うほど空気の読めないメンバーはいないのだ。気づけば冷や汗が頬を伝い、ごくりと喉を鳴らしていた。この現状を打破できるのであれば、もうなんだっていい。そう思えるほどに、彼女たちは命の天秤を上手に傾けられなかったのだ。
〈まず、結夢!〉
ビシィ!と指のない手を結夢に突き付けるクマ。結夢はいつも通りの顔だったが、どこか諦めているように目を微かに伏せていた。彼女には思い当たるふしがあるのだろうか。
〈手遺結夢は、”両親から愛されていない”!〉
「……ぇ……。」
困惑したような声が、結夢から漏れていた。それは全くの嘘の話に驚いたのか、それとも想像していた物と違ったからなのか。メンバーを置いてクマは続けた。
〈結夢は母親からの愛情はもらえていないって思っていたでしょう?でも違う違う!可愛そうだね!〉
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晴(プロフ) - きゃらめる@ぱんけえきさん» コメントありがとうございます。そう言ってもらえると嬉しいです。今後ともあいです!をお楽しみいただけたら幸いです。 (3月29日 22時) (レス) id: f84a20cb2a (このIDを非表示/違反報告)
きゃらめる@ぱんけえき - とっても面白いです!アイドルたちがデスゲームをするのはなかなかユニークなご企画ですね! (3月29日 21時) (レス) id: 9b744e7a21 (このIDを非表示/違反報告)
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