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「ボクも……どちらか選べと言われたら、結夢に生きててほしい……かな。」


 ぽつりと呟いた彼女の声は、普段の淡々とした声色とは違い若干の震えを伴っていた。笑心は誰の顔を見る訳でもなく、ただただ自分の足元を見つめていた。表情は伺えずともその震えた声から自分たちと同じ複雑な感情をアイドルたちは感じた。それでも彼女は震えながらどうにか冷静を保とうとしている声で続けた。


「路望の話を聞いて、ボクも二人が、ボクたちに与えている影響について考えたよ……。あのクマが、本当に、今からデスゲームをする気なら、今のボクたちに必要なのは……結夢の冷静さとか安定感なのかなって……ボクは思う……。」


 自身の左腕をぎゅうと掴みながらゆっくり言葉を選びながら発言した彼女の姿は、いつもより小さく見えた。触れたらすぐに壊れてしまいそうなほど小さく、震える彼女に、誰も、何も言えなかった。


「……わたくしは。」


 口を開いた、言おうとした。言おうとしたのに、すぐに黙ってしまう。勇気を出したというのに、声を出すと共にその勇気は簡単に消えていく。俯きをやめ、顔を上げた時に見えた二人の状況は、あまりにも残酷で、口に出すことがあまりにも恐ろしくなってしまった。すぐにあのガラスケースは水で満杯になってしまうのだろう。ガラスケースの中で苦しんで死んでしまう二人の姿など、想像するのすら嫌になる。


「……選択、できない。二人とも大切で……。わたくしにとっては、大切な……。」


 片方しか助けられないとわかった今、すぐに決め、残りのメンバーで決断するのが最も良い結末へ向かう方法であることは確かだ。このままでは二人とも失うこととなり、最も最悪な状況になるとわかっている。それでも、彼女は選択はできなかった。嗚呼、これがエフェドルの中で最も大人しいアイドルか。なんて惨めで情けないアイドルなのだろう。……そんな情けないアイドルは、密かに彼女を見つめていた。そっと目を伏せて、そして彼女は覚悟を持って、口を開いた。


「……。」

「恋夢ちゃん……。……わたくしは、恋夢ちゃんに、生きて欲しいです。恋夢ちゃんが、死ぬのは……わたくしは……。」


 ……また、黙ってしまうのか。自分を心の中で責め続けながら、それ以降、彼女が声を出すことはなかった。重苦しい辛い雰囲気に包まれてしまった部屋では、誰かへの慰めの言葉なんて意味をなさないのだ。

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(プロフ) - きゃらめる@ぱんけえきさん» コメントありがとうございます。そう言ってもらえると嬉しいです。今後ともあいです!をお楽しみいただけたら幸いです。 (3月29日 22時) (レス) id: f84a20cb2a (このIDを非表示/違反報告)
きゃらめる@ぱんけえき - とっても面白いです!アイドルたちがデスゲームをするのはなかなかユニークなご企画ですね! (3月29日 21時) (レス) id: 9b744e7a21 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:無し  
作成日時:2024年1月13日 11時

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